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2014年08月25日

善と悪 ブラザー

「ブラザー、よく日本から訪ねてきてくれた。

また、会おうぜ」

クライスラービル一階フロントマン。

彼が後ろ背にそう言ってくれているように

感じました。

不安交じりのNYマンハッタン探索で

一気に心を軽くしてくれた黒人の彼との出会い。

が、しかしです。

人生、そんなに甘くない。

クライスラービルを後にしてまもなく

Ny一人旅の不安の底をつくような

出来事が起こります。

*******

時計は、8時を回って、もうすっかり

暗くなっていました。

私はホテル近くまで来て

スーパーが目に付き、

ミネラル水などを買おうと中へ。

数分後、スーパーを出るとき

入店してくる黒人の若い男性と

すれ違いました。

おそらく肩も触れていないと

思いますが、

彼はメガネを落としたのです。

私のそばにころがったので

すぐさま拾って手渡してあげました。

「サンキュー」

「ユーアーウエルカム」

非常にフレンドリーな

やりとりでした。

そこまでは、クライスラービルフロントマンと同様に。

私が20メートルほど歩を進めた地点で、

後ろから、とんとんと肩をたたく。

さっきの若い黒人です。

そこから先はもう、分かる方は分かりますよね(笑)

フレンドリーにみえた彼、今度は顔を曇らせて

メガネのレンズを指差し、ひびが入っていると。

さらには「修理代に187ドルかかる」と!。

*************

私は「うわっ、キタ~~~~~~~~~!!!!」と

戦慄が走りました。

私の肉体的な状況をひるがえって説明しますと、

11時間のフライトで、2時間ほどしか

寝ておらず、飛行機から降りて数時間しかたっていない、

時差ボケ&睡眠不足による

体力・思考能力低下という

三~四重のネガティブな状態でした。

とにかく、この危機から脱しなければ、とパニクリながらも必死に

脱出策へ、頭をめぐらせました。

その黒人は年齢20~30代。

野球帽に白い柄物Tシャツ、半ズボン姿。

一見、極悪な風情には見えません。

彼いわく

「ユーは、私と店の出入り口でぶつかったよね。

これ見てくれよ。レンズにひびが入ってるし、鼻掛けの

ところも折れてる」

私「オー、ソーリー」(こいつは、詐欺まがいで近づいてきて

やがるのに、謝ってはだめじゃん、と心の中で叫びつつも、つい・・・)

黒人「オレは敬虔なるクリスチャンだ。これを壊した行為については

あんたを許す。しかし、修理には実質187ドルかかる」

私「わかった、わかった。手持ち30ドルしかないが、これでなんとか

収めてくれないか」

黒人「いや、それだけでは、だめだ。187ドル必要だ。

オレはクリスチャンだ。悪いようにはしない」

その若い黒人、近くにいた仲間とおぼしき黒人に

軽く目くばせ。私のパニクリは最高点に達して・・・・。

私「わかった、わかった。日本円だが、ここに15000だけある。これで

なんとか、この場を収めてくれないか」

黒人「日本円か。いいだろう。オレは換金する手段も知っている。

これでOKだ」

私は、詐欺に遭っているという被害者感情よりも

この窮状から脱することができる、救われたという

思いから、思わず彼に握手を求め、

「サンキュー」とがっちり握手、お互いスマイルで

別れたのです。なんともはや・・・(嘆息)

*******

NYに降り立ったその日に、

ふたりの黒人ブラザーとの出会い。

友好的なコミュニケーション、

詐欺まがいのソフト恐喝被害に遭う

という、実に対照的な・・・。

う~ん、これも一人旅ならでは、

キッチュな体験といえるかもしれません。

しかし、着いたその日に15000円の損失被害は痛い。

まだ旅は続くのに。

金額以上にヘコんだのは

紛れもない事実でした(--;)。

善と悪 ブラザー


(グランドセントラル駅を後にする際、ビル正面の彫像が見送ってくれているようでした)

善と悪 ブラザー


(たそがれて、なお、威容を増すアールデコの尖塔。今回のNY旅でもわれながらベストショットに近い一枚)




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